餅の実体 


良い法話を聞かせていただきました。

徳山禅師の「三世心不可得」です。
徳山は四川省から旅立って途中、ある餅屋に立ち寄ります。そこでの老婆との問答です。徳山は実に優秀な金剛経の大家でしたがその時はまだ開眼してはいませんでした。徳山はその老婆の餅屋で点心(おやつ)にしようとしたのです。
老婆「そのかついできたものは何ですか」
徳山「金剛経の注釈書です」
老婆「わしに質問がある。もし貴僧が答えることができれば、ただで餅を差し上げましょう。もし、答えられなければ、よそへ行きなされ」
徳山「どうぞ質問してください」
老婆「金剛経に『過去心不可得、現在心不可得、未来心不可得』とあるが、あなたは一体どの心で餅を食べるのか」
徳山(無言)

 徳山は餅を売る老婆にぐうの音も出なかったというエピソードで、徳山は「心」という文字に「心」を奪われてしまったのです。心で餅を食べるとでも思ったのでしょうか。餅は口で食べるに決まっています。彼には心が何か分かっていなかったのです。心の「実体」が分かっていれば、彼は黙って餅をつまんで食べ、ただ「ああ旨い」と言ったでしょう。「心の実体」が分かれば「餅の実体」が分かります。同時にそれらは別々の「もの」ではなく、元来一つの「もの」だったことが分かるのです。「三界唯一心」という言葉があります。

真実は極めて単純明解ですね。

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